座標系と旧版地形図の座標付け

 

 

◆座標系について

地理座標系:「日本測地系」と「日本測地系2000」と「WGS84」

地理座標系は3次元(単位は角度:度分秒など)

 

日本測地系:GCS_Tokyo(明治~2002年4月まで)

・日本で使用開始

・測量法が変更されるまで使われていた測地系

・準拠楕円体(緯度経度の設定する際の基準?)はベッセル楕円体

・別称 → 旧測地系、旧日本測地系、Tokyoなど

・現行の座標系と比べて関東で450m、北海道で400mくらい南東にずれている。

 

日本測地系2000:JGD2000(2002年4月~)

・日本が使用開始

・準拠楕円体はGRS80楕円体(GPSに使われているWGS84楕円体とほぼ同一:誤差は0.1mm)としている

・別称 → 新測地系、新日本測地系、世界測地系

・2011年の東北地震後のずれを考慮した日本測地系2011(JGD2011)がある

 

WGS84:GCS_WGS_1984(1984~)

・アメリカが使用開始

・準拠楕円体はWGS84楕円体

・別称 → 世界測地系

・GPSの位置表示の基準になっている

 

「日本測地系2000」と「WGS84」は両方とも世界測地系と呼ぶことがある。

論文や書籍では文脈を読み取ってどちらなのかを確認することが大事だと思った。

丁寧な本では世界測地系(ここでは●●を指す)というように書かれている。

 

投影座標系:「平面直角座標系第1~19系」と「UTM座標系第51~56帯N」

投影座標系は2次元(単位は距離:メートルなど)

 

平面直角座標系第1~19系(JGD_2000_Japan_Zone_1~19)

日本の公共測量で使用される座標系

・同じ県内で面積の比較をする場合に使うことが多い

・都道府県によって用いる原点が異なる

 →国土地理院にて対象とする地域を選択すれば第何系を使えばいいかわかる

・別称→公共測量座標系

 

UTM座標系第51~56帯N(WGS_1984_UTM_Zone_51N~56N)

・世界各地の大縮尺地図で使用される座標系

・都道府県単位で比較する際に用いる

国土地理院にてざっくりと第何帯を使えばいいかわかる

 (画像が粗くてなかなか見づらい、「UTM座標系 都道府県」で画像検索とかしてみるといいかも)

 

 

◆旧版地形図(1950年代)のデジタル化について

1950年代の関東地方の土地利用面積を集計するために、紙地図をスキャンしてGIS上でいじることがあった。

その時にスキャンデータの座標付けについて手順をメモとして残す。

 

事前準備

1、国土地理院から1950年代の旧版地形図(1/25,000)を購入

2、普通のプリンターではスキャンできないので、印刷業者にスキャンを依頼

3、USBに入れられたスキャンデータ(tif形式)を確認

4、旧版地形図の四隅にある座標をメモする(例:緯度35°50’00”.0 経度140°07’40”.4)

5、上記の座標は日本測地系なので、日本測地系2000の値に変換する

Web版 TKY2JGDにて変換方向を「日本測地系→世界測地系」として緯度経度を入力し、計算を実行

(例:変換前→緯度355000.0 経度1400740.4、変換後→緯度35°50’11.60752” 経度140°07’28.61955”)

6、日本測地系2000に変換した座標を平面直角座標系の値に変換する

平面直角座標への変換にて測地系を「世界測地系」、平面直角座標系を「9系(関東なので)」を選び、先ほど変換した値を入力し、計算を実行

(例:変換前→緯度35°50’11.60752” 経度140°07’28.61955”、変換後→X座標 -18094.1769m Y座標 26314.6577m)

7、平面直角座標系に変換した四隅の座標をメモする(メモは捨てずに、ずっと残しておくと良いと思った)

 

ArcGIS上の作業

8、最終的に面積集計をするので、マップの座標系を「平面直角座標系第9系JGD_2000_Japan_Zone_9」

  に設定

9、スキャンデータをGIS上にドラッグ&ドロップ(座標系が不明だよってメッセージ出ても気にせず進む)

10、スキャンデータを選択し、Toolbox>投影変換と座標変換>投影法の定義を開き、座標系を8、と合わせる

11、カスタマイズ>ツールバー>ジオリファレンス>コントロールポイントの追加を選択すると、カーソルが十

  字マークになる

12、地図の角にカーソルを合わせて、1回左クリック(十字マークと数字の1が表示される)したら、そのま

  ま1回右クリック

13、「X、Y座標の入力...」を選択し、7、のメモを見ながらそれぞれの値を入力する

※記録したXの値をYに、Yの値をXに入力する←ここよく間違えて変な場所に移動しちゃう

(例:X座標 -18094.1769mをY:の横に入力、Y座標 26314.6577mをX:の横に入力)

14、四隅に座標をつけることが出来たら、完了です

 

位置が本当にあってるか心配なときは、kmlに変換してGoogleEarthと重ねたりすればおk?

 

ひとまず日本測地系のときの地形図を正しい位置に移動させる方法はこんな感じかと

もしかしたらもっと簡単な方法があるかもしれないし、間違っているかもしれない。

各自で試してみてください

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コメント: 2
  • #1

    まるちゃん (火曜日, 01 9月 2020 21:53)

    ArcGISで旧版地図のジオレファレンスを行おうとしたのですが、四隅の座標でGCPを追加して経緯度のDMSを入力してレクティファイで保存しようと思ったのですが、「ラスターデータセットを保存できませんでした。」というエラーが出てしまいました。これはどういった原因なのでしょうか、、、。

  • #2

    管理者 (土曜日, 12 9月 2020 16:52)

    正直に言うと、ちょっと原因はわからないです。
    この作業を行ったのがかなり前で曖昧ですが、tif画像に座標情報を追加した後はラスタデータに変換などせずに作業していたので、そのエラーと出くわしたことがありません。
    お力になれなくて申し訳ないです。