ArcGISを用いた生息地間のConnectivityの算出方法

前置き

対象とする生息地のConnectivity(連結性)を算出しようと思ったけど、ウェブで検索しても具体的な方法がなかったので書きます。

 

 

ここでのconnectivityは平たく言えば、生息地間の距離と面積を掛け合わせた値になります。

式で表すと Σexp(-αD)A となります。

 Dは生息地間の距離

 Aは面積

 αは特定の種の分散能力(特になければα=1)

※exp(-αD)は距離が近いほどその値は1に近くなり、距離が離れるほど0に近くなる。

 

図のTarget siteのConnectivityを求める場合は以下のようになる。

Target site → Habitat1

 exp(-1×Distance1)× Area1 = C1

Target site → Habitat2

 exp(-1×Distance2)× Area2 = C2

Target site → Habitat3

 exp(-1×Distance3)× Area3 = C3   Connectivity = C1+C2+C3

 

算出方法

具体的なConnectivityの算出方法を書きます。

・ArcGIS(ver 10.6)を使いました。

※調査対象とした草原と、その周辺にある調査対象外の草原間のConnectivityを求めようとしました。

・ポイントデータのshpファイル(調査地の重心点:図中の黒丸)と、ポリゴンデータのshpファイル(土地利用図で草原だけを抽出したもの:図中の緑丸)を用意しました。

・ポイントとポリゴンの最短距離を求めるには「近接情報テーブルの生成(Generate Near Table)」ツールを用いました。(ActToolbox >> 解析ツール >> 近接 >> 近接情報テーブルの生成)

※ポイント、ポリライン、ポリゴン、マルチポイントデータに対応

※ツールが行う距離計算の方法が気になる人は近接解析ツールによる距離の計算方法をご確認ください。

・近接情報テーブルの生成ツールを開き、以下のように設定しました。

入力フィーチャ:ポイントデータを選択

最近接フィーチャ:ポリゴンデータを選択

出力テーブル:保存したいフォルダを選択

検索範囲:値の指定なし(※値の指定をした場合、何故か強制終了された

位置:オフ

角度:オフ

最近接フィーチャのみを検索:オフ

最大最近接フィーチャ数:1000(とりあえず1000にした

メソッド:PLANAR

・出力されたテーブルをExcelで集計した。

  

表の見方

Rowid_:重要じゃない

OBJECTID:重要じゃない

IN_FID:入力フィーチャで選択したフィーチャのID

NEAR_FID:最近接フィーチャ選択したフィーチャのID

NEAR_DIST:入力フィーチャと最近接フィーチャの距離

NEAR_RANK:近い順

 

例えば

上から1行目

FIDが14のポイントとFIDが197のポリゴン間の距離が13410.3mで、FIDが14のポイントに対してFIDが197のポリゴンは260番目に近いことを示している。

下から4行目は

FIDが14のポイントとFIDが159のポリゴン間の距離が12753.8mで、FIDが14のポイントに対してFIDが159のポリゴンは244番目に近いことを示している。

※最近接フィーチャを複数選択した場合、

 もう1列追加され、最近接フィーチャに選択した各レイヤー名が表示されるの。 

この後は、NEAR_FIDを検索値としてVLOOKUPでポリゴンの面積データを参照してConnectivityを求めた。

 

以上。